青山のカフェで桃色の便器に座って考えた───
 
嘉峪関かよくかん

月の兎が跳ねたなら 

兵隊さんのお出掛けだ 

 

マーライオンも水を吐く
むかシむかシ、竹田のお城の崖の隘路 あいろ を 

道なき道を
鎧の音も 喧 かまびすしく
ケン ケン 相摩 あいま し 

兵隊さんが通って行った
 
平壌 ピョンヤン でソウルフル 

タッグ、タッグ チック、チック 

李さんの冷たい素ぶり 

リップ、リップ、タップ、タップ
 
南に行った日々は確か柳色りゅう しょく新たなり 

今はまた北に向かふ
アムールの河を渡って正日 ジョンイル の 

メドベージェフとターンする 

チックチックターンターン
デルス・ウザーラ、伝説の白虎 はくこ の故郷 

薪をもっと燃やせ 

煌々と星空に 

ぱちぱちと火の粉 

薪を枕に寝るぞ、今夜はここに 

火を継げ、薪を放りあげろ 

ほら、ぱちぱち爆ぜる 

毛皮も厚めに 

正日も寒からう
 
中国で列車が落ちた、 

それは埋められた、温さんの憂い 

キョンシーは起きるよ 

歌へば起き上がる土の中から列車は 

起き上がって前の肩に 

掴まり、掴まって 

さあ、ジェンカ、夜の夜中に楽しく 

キョンシーの白い頬 

塗りたくって、レッツ、キス
 
人民大会堂で踊り出す 

両手を掲げ、右の頭上でパンパンと景気よく 

くるりと回り次には左 

お尻とお尻突き合わせ 

ひっぷひっぷターンターン 

温さんの泣き笑ひ、胡錦濤さんは慰め 

手と手を鳴らし合い
ヒップヒップ臀臀 でんでん 

腰と腰も 

踊れば忘れる、気分も休まる

鴨が葱、角から豚が、 

つらいこともあった。 

 

漢奸 かんかん は人の言の葉 

トーチカの陣地の床に結ばれし鎖
戦へ、と逃げるなと環輪 かんなわ
 南京攻略 

攻め難き、抜け難き足首 

カンカンと鉄を撃つ音
吶喊 とっかん と、喊、喊、地を騒がす鬨 とき の声 

アドレナリンはここぞとばかり 

こめかみの太く痙攣 

足首を断つ血だらけ 

目隠しを手をまへにしてまへへと首筋を後ろからズドン 

漢奸は人の言の葉 

攻め難く
 
隕石が落ちた、恐竜が滅びた 

あれから 

たれか地に建立せる巨大なストゥパ 

ぐるぐると回る右の廻りに 

生命は回る、右の廻りに、みんなひれ伏す 

エベレストは巨大な地のストゥパ 

頂きにウミユリを飾る、5 億年ほどの前の 

鶴の集団が越えていった、 

辛うじて
 
エベレストは人類が手と足で登る最後の隠喩 

ウミユリを探した、ひょんなことに 

衝突と 

彎曲と 

褶曲と 

ウミユリが在ることを知らしめるために 

地球は人類の到達のぎりぎりのラインをエベレストという形に 

ウミユリはハッハ、 

ハッハ、すべての山は泣きながら登る 

そっちは奈落の底、見てはならない 

蒼い氷、ハッハ、

ハッハ、ピッケルとアイゼンで 

もはや音もない世界に
 
上がるには苦労はするも下りるのはなおさらこはい 

ヨセミテのゴーグルは嬉し 

眩しくて生唾を飲む 

ゴーグルに人影映る豆粒の 

フリーソロにまったく 

命綱はなし 

ヒップヒップ、ダウンダウン、

ダウンダウン、ヒップヒップ
 
東洋は広くて狭い 

狭くて広い、ルック・イーストは久しくて 

ゴゴゴー、

風が鳴いている ゴゴゴー、

見捨てられて風は我が身のうへをとほる 

ゴゴゴー
 
稲の穂はさらさらゆくよ 

心地よい風のまにまに

 清涼はほどよい心地 

酵素は仕込む、でんぷんをここぞとばかり 

臀部、ことさらにさらにと 

森と森、千里をとほく

 弥生の頃の 

縄文の後
波間をゆくよ、風聞 ふうぶん 

よく聞けり 

 

カッコーの空を翔んでく 

土器の欠片に黒く残った
たゆにゆたけく門 かど の稲穂の
 
たゆたゆは浪の打つ音 

波枕、耳の下聞く 

眠りなば、下の紐とく 

とく、はやく 

たゆたゆは腰枕はた旅枕の 

せかせるほどに 

下の紐とく
、はやく
 
とく、とく をの兒あり、

女子 めのこ は空に広げてただ待つをのみ 

指と指固くからめて
から め手の手弱女 た お や め
 ここ一点に強く打ち込む 

ヒップヒップとんとん、とんからり 

楔打つただの一点 

摩擦せり 

子々孫々の末代までの 

恋焦がれ、焦がれつつ、

焦がれるまでに
 
記憶とは教訓のこと 

遥けくも旅するものぞ 

ようこそ故郷へ 

骨に穴あるオカリナを吹く 

もの悲しきネアンデルタール 

だんだん、団欒、洞窟の奥 

 

ろんろん固まりてなむ明日の天気を誦 む 

氷結の川をわたりてろんろんと喉に叫べば 

しぶときナウマン 

だんだんと地団太 

どんどんと槍の穂先 

しぶときナウマンをどんと追い詰め 

崖下に落ちたどすんと 

ろんろんは勝利の雄たけび 

届け洞窟の妻と子等に 

ろろろろろろろるるるろろろ
 
彼はいつも花柄の上着に赤いズボンをはき 

真夜ふけても 

何処にいてもパーティー 

どこへ行ってもパーティーだった
あるこほる臭く

頭陀 ずだ 袋からすり減った詩集を出す 

ずんずんふくふく 

ふくふくずんずん・・・
匍匐 ほふく 前進
 
モリーの若やいだ美しさ 

とてつもなくしなやかな

目の前を歩いてゆくよ 

スピルダの貝掘り 

伝説通りの 

波がちゃっぷちゃっぷ 

イキがいいよ 

獲れたてだよ 

浜辺に旗をたてゝ
 重くても 

自分で背負って歩け 

㎡㎡ 

もふもふふくふく 

 

バフェット氏が信条に掲げる「安全性のゆとり」。 

バンカメ株は明らかに売られすぎの水準にある。 

タレカ来テヰル 

さすがだね 

長い睫毛が涙でぬれる 

たれか立てたか地の巨大なストゥパ 

仏陀とソウルフル 

長い脚と腰が流れるリズムを捉える

 シンさんと踊ろう 

臀臀相摩し、両手の指を相結んでかざす 

腰と腰をぶつける、 

長い手足をタッグ、タッグ、 

肩と肩をぶつける、

チックチック、タックタック 

肩の位置が違った 

平和になるといいね 

まったくだ。

 

青山のカフェで桃色の便器に座って考えた───

囁き
 
嘉峪関 

月の兎が跳ねたなら 

兵隊さんのお出掛けだ 

マーライオンも水を吐く

 

2018,7/13

『哀喪「3.11」災後物語』(下巻)

倉石智證