/谷合に家の肩寄せなだりたる海辺の村の明るみてあり

/リコピンや朝の清潔バイキング若者の群れどっと押し寄す

/大村は千々和ちぢわミゲル生誕地公園に寄りトイレを借りし

/尿いばりして萩ねじり花傘の下

/長崎や今日も雨雨雨が降るガソリンスタンドに四人も立ちし

/welcomeとグラバー園に蝉しぐれ

/ねこじゃらし揺れて路面の電車かな濡れし鉄路のカーブを描き

/シーボルトの黙して語らずオタキさん紫陽花の花雨を溜めたり

/一通いっつうに入りてはもう帰れない信仰の道ただごとならぬ

26聖人の殉難の丘、西坂で。

飄として外つ国の神父さんが現れて、車に指示を下さった。

/信仰はかくもムツカシ伴天連の転びもせずに死出の旅立つ

/露天風呂蜩の聲湯に枕

/大浦や土砂降りの雨ワイパーの

悔過けくわぁ悔過聞こゆ雨上がり来る

/うくいすの声聞くことも旅の宿

/爆心地一切無常一万度黒焦げの死体歯をむき出して

/オダネルの写真を見たり少年の歯を食いしばる「焼き場」にて佇つ

/原爆の累々たるを今に持つ蝉しぐれ聞く長崎の街

出島跡地の通りで。

ジョー・オダネル。我々はみなある意味では戦後ここから出発した。

長崎8/10被爆者

永井博士は被爆死した妻を描いたと云ふ。

 

倉石智證