ツバメ通信がうれしきものを
地はモグラに
天はツバメ
夜は梟に申しつける
どんどんどんと大地を鳴らし
かんかんかんと空を叩く
花色に花が咲き継ぐ
不思議ナケレト
そんなことをしてみんな不思議さうに顔を見合わせる
せいぜいがオオカミの糞を焚くのだらう
峰々に煙の色を読む
安寿と厨子王の世界では
行き違いや不幸が姉ーさんを追い詰める
岸を背に離れて湖に静かに身を沈めてゆくとき
世界はそんなことを少しも知らないでいた
人買いや人売りが夜の月を揺らして奔ってゆく
蟻の動きほどの地図上の微々たる動き
息をひそめる爬虫類
地球の不幸のことや
シリアやパレスチナ、ロヒンギャにベネズエラのことなどなど
地下鉄からどっと湧き出るやうに
人間たちはスマホ片手に地上に出て来る
色彩の乱雑さについには惑乱
そして選挙だと、騒いでゐる
わたしは窓にゐて窓の外を眺める
不思議ナケレト
燕つばくらめたちよ
この世界は決して平等だなんてことはないんだね
燕つばくらめたちよ
伝へてよ、きっと善きことを
モグラたちおまへ、
その暗がりと不安に眼は陽に曝されると潰れるかもしれない
梟よおまへ
闇と知恵と知識ばかりでなく
村の入り口の標識の上で
善きことを、安心と温もりを教えて欲しい
わたしは窓にゐて窓の外を眺める
燕つばくらめたちよ
おまへ達の早さと自在さでもって
もし安寿と厨子王に善きものを届けることが出来ていたならば
姉ーさんは湖の水面に
幻となって微笑んで振り返る
私は窓辺にゐて
けふも白い雲がもくもくと空に立ち上がのを見てゐる
ツバクラメたちよ
けふも黒い点になって雲の階層をおおいそがしで出入りする
善きことといへばまったく
畑の隅で、けふカボチャが
人知れずにこんなに大きくなったことだよ
倉石智證



