/サニブラウン サニーサイドと青天井
/ですがですが若竹のころ更衣
/バラの花梅雨に濡れにし緋衣あけころも
/南天の花初夏へ白きまゝ
/掘り抜きの井戸の近くや綾目咲く
/一尺いっせきと云はず尺蠖しゃくとり剰あますなく
/ブレーキを外さないまゝピーピーピー農道に出る義兄にいさんははも
/来てるなら会わせてほしい女の子にふそくったらしいばばの夢遊の
夜の10時半ころ、階下にかなり大声で独り言ごちるばーあさんの声がする。
階段を2階に上がってこようとするが妻が下りて行ってまずはなだめる。
「どうしたのかな…」。夢でも見たのだらうか。
女の子が来てるのにわたしに会わせようとしない。
会わせてほしいとねだるのだ。
「わたしはだれ ? 」と聞くと利恵子、と答える。
それでまあ大丈夫かとなだめすかしてベッドへと連れてゆく。
寝かしつけて、それでもまだ夢の続きでも見ているのだらうか、
妻が2階に上がってきた後でも、しばらくずっと、大きな声でなにか喋り続けてゐた。
✖月✖日、ぼくは溶暗の窓の外を眺めてゐる。
それはたとへばうっすらと白いやうな夜に飛び交うものを求めて。
それから窓を閉じ、カーテンを窓にひいた。
ばーさんのページが頼りなげに確かに過去へ向かってまた閉じられたやうな気がした。
倉石智證




