いとうひろみさんてただ事ない人の

ただごどないから

おっぱいとかお尻とか手のひらとか

目ん玉とか赤い舌とか

を、想像しまくったっていいかなって

キッチンの端から端まで裸足でぺたぺたと歩いてみる

寸法を測ろうと思ったのだけれど

何しろ寸法違いの人らしくて

もう向こうへ歩き始めて

食卓かなあってお皿をテーブル一杯に並べ始める

なにしろただごとないばかりの人らしくて

方位も高低差も深度だってバカにできないばかりか

気が付いたらまたしても

誰かと一緒に住んでいて

そのことは少しも気にならないらしくて

犬を飼うぐらいに愛情深く

お風呂も一緒に入る

きれいにしてあげる

多分ぐにぐにのうにうにのぶにぶにくらいで

いつかわたしにだってと思ってみたりするのに

もうまた背中ばかりで

つまらないからとつまらなさうに

出ていかうとするからオーイと呼びかける

すぐさま少しでもでもでも

あからさまに反対するわけにもいかず

ひろみさんてば

とっても心に響く音を

ぽうんぽうんと色物のボールをいくつも

空の方位に放り投げて

子供たちはすぐに馴染んで

きゃあきゃあと歓声を上げて喜んでゐる

さて、いつだって落としどころはムツカシイんだ

ところがおちるどころか

まあいとうひろみさんてば太いんだな

どうしてもと引きずっていってしまう

ところが愛について追いつめられると

いざっとなって、あゝ、思い切って咄嗟に飛べるではないか

人生にとって反射神経は大事で

だからぐにぐにのぶにぶにのぐにょぐにょ

介護は大変だが

ゴムまりのやうに愛情深く

ひろみさんてば

ポウンポウンと棘ぬき巣鴨地蔵の方に

おおいそがしで飛んで行った

体のために生きる、

部屋のために掃除をする、

世界のために、きみに恋する。

わたしが、愛するその人は、

愛されるためには作られていない。

(最果タヒ)

 

倉石智證

まあ女性たちってすごいな。

体の中に物語が頭のてっぺんからつま先までぎっしりと詰まってゐる。

枕草子、源氏物語以来だ。

「おしん」を書いておしんシンドロームを世間や世界に巻き起こした

橋田壽賀子の「私の履歴書」が先月了った。