あんなところにいるんだものペニンシュラ
突端で波が白く泡立ってゐる
次々と湧く数式とは別に
あれは大洋
多くの生き物たちが棲み
蒼く海流してゐる
空気や圧力や風や戦ぎや
だれかれと云ふことではなく
離れればフライパンの上の仕合せ
決して教えられたわけではない
通り過ぎてゆくごときのごくごくわずかなサインで
彼は後ろ向きになり
彼女は改札を出てとほくに去ってゆく
と云ふやうな
考えれば
海流などと云ふものはどこにでもあるものだ
女はすぐに男の星屑を体の中に数え始める
太陰暦をもってペニンシュラ
海へと突端に進み出れば
そこは紛れもなく地下ターミナルで
星屑は男の体内に煌めき
偕老同穴かいろうどうけつ
それはすぐに女のやはらかい体内に煌めき始める
昼より夜が好きだと云ふから
怠惰な
それはおそらく二人だけのことで
愛してればこそとことん
間違いのないことだらう
けふの日は
と云ふのだった
たとへば「とまれけふの日は」と云ふ類の
真っ赤な薔薇をキオスクで買って
息せき切って地下のターミナルの階段を駆け上がる
太陽がまぶしく頭上に出る前に
告白する
彼女に手渡さなければならない
こんなにしてまでもペニンシュラ
見たこともない青々とした大洋を目の前にして
倉石智證
ある友人の写真をお借りして(笑)。


