雪の下からの湯沢地区の蓬は香り強く・・・。

/草餅ややさしき妻の掌たなごころ

/姉さんのスモモの摘果てっか眼の赤し

花粉の残りが眼に入って。

/櫛形を下りて村里目に綾目

櫛形山はアヤメの自生で有名。盛りの時は見事である。

/カスミソウ御嶽の宿種の宿

去年の御嶽山登山。麓の黒澤館でカスミソウの種を買った。

庭先に撒いたらどっと霞に咲いた。

/薔薇咲いて棘の上ゆく蟻ん坊

/立つことの能わず芍薬の白さ

/芍薬や邯鄲かんたんの夢蜂の夢

/村娘立てば芍薬昔から

/芍薬のしゃなりは夢のごとく佇ち

/早々と夜やガガンボの笠の夢

/躑躅花落ちて冥利や庭の芝

/躑躅散って芝に落ちたる二三片

/松芽搔き躑躅の場所を斟酌しんしゃく

/せっせっせ八十八夜いぶかしむ

/八十八夜にわかに村の活気づく

/鳥盛る農事にわかにいそがしく

/蝶生るゝ庭前の花まぜの風

/蝶生るゝ門より入り垣を出づ

/草引き媼ばば雑草と打ち解けぬ

/苗植ゑる妻に畑の翳の濃し

/畝に播く生姜の面のふてぶてし

/穴掘りや鍬に手荒き春の芥ゴミ

/春燈や妻の呼ぶ声甘くなり

 

倉石智證

まぜ風=南西の風