/蕗の薹大地盛り上げしは、宙へ

/にぎにぎの形こごみの微笑まむ

/雪折れの桜は北の大地かな

/新樹光樹液の中へファド聞きに

/まつだいへ雪解に濁る信濃川

/芝峠雲海谷川岳隠す

晴れていれば眼前に谷川岳連峰が見えるはずなんだが・・・

/平成や十日町過ぐ蕎麦を喰ふ

/火焔土器妻有つまりを濡らす春の雨

/当間あてまから道雪ふさぐ蕗の薹

/大沢を桜に過ぎて湯のけむり

/にぎはひや皿の上なる鯛平目

/魚沼や霧に埋もる若芽吹く

/山桜斑はだれの雪と競ひ合ふ

/山歓ぶ三位一体山桜

/ダンスダンス片栗の里行くまへに

/山路来てなにやら可笑し我が妻の縄文人の血が躁ぎ出す

/平成や野辺に肩棒担ぐかな

/イノセント春の装ひアニミズム

/野辺に出て翁に春の舞台かな

/人死むで河鹿を聞くは皆瀬川(逆縁もまた)

/朝起きて二身に離る心地する花の台うてなかこの世の花か

「布団から起きるのが何しろ億劫になって」

「こっちとあっちの世界に引っ張りあいっこされてるみたい」

/先生せんじょうはわが師わが恩九十二ここのそとふた

 暗夜造巣あんやぞうそう今に書を読む

今年93歳に。今読んでゐる御本と云ふことであった。

好奇心はまったく衰えていない !

 

倉石智證