/女人族嬉しカステラ作りかな顔耀ようて亭主忘れる

/骨にまで鏃忘れて三千年弥生の人のコメ作りかな

/冴えかえる蕗の上なる斑雪はだらゆき

/雪に訪ひし日進館の婆湯かな

むかしむかし、万座温泉の日進館の薄暗い廊下を迷路のように行くと。

/風薫る五百樹の人は陸奥へ桜の後を追ひかけてゆく

/きぬさやの初物分くる夕餉かな

/声かける畝に返事やネギ坊主

/藤房の丈長ければクマンバチ

/藤房のみな青色に風の中

/一雨に牡丹は色を変えにけり

/一夜さの雨ぼーたんに閼伽あかの水

/挨拶に牡丹咲いたと門に佇つ

/うすかみのかみより薄き牡丹花その紅色を天に捧む

/躑躅つつじ漢字忘れてツツジかな

 

倉石智證

 

倉石智證