/ばーさんやここにじいさんゐたんだよ花の簪かんざし帽に差し掛く
/一年ひととせを花巡り来る一人欠けふたり欠けしてまた巡り来る
/べっぴんさんと声を掛ければおしゃまして
ばば若返る九十ここのとせと二
/花片を髪に透き込む野点かなきやらきやらとうれしき声の
/太巻きに花を見立ててデンブする色こそよけれ春の賑わひ
/我が妻に風な吹きなそ野蒜のびる摘むいにしへ人もかくこそ夫つまに
/水仙の花土手に咲いたよ穏おだし午後
/木瓜ぼけの花垣根の下に穏し午後
/みなひとのサクラの花に戀をする上になったり下になったり
/何億のDNAが泡立って花よ花よと人流れゆく
/墨染の人にも花や春死なむ
/有線の人の通夜など告げにけりスモモ花咲く午後からは晴れ
/ばーさんの「おぼえられん」はいいけれど嚏くさめ三回トイレに急ぐ
/あれは消毒、あれは耕運機甲斐盆地ダイナモの音農闌たけりゆく
/射干しゃがの花桜の花に先駆けて
倉石智證






