/蕗の薹五指解くやうにほどけけり

/俤や母そはの妣はは蓬餅

/野に放つ妻は蓬や蕗の薹

/放棄地を横ぎり白梅の中へ

/陽のルビー花蒲の青きやイヌフグリ

/燻ぶりてやがて火になる剪定枝

/剪定枝火に炙られて軋みゆく

/ゑう無きに剪られし枝の焚べられて

/葡萄樹の剪られし空の青さかな

/春雨や濡れてはいかん風邪をひく

/村雨や沸にえの殺気を横流す

/花活けて蕊しべ床汚すままになり

/深更や灯りも点けず階下からうろつきばばの妻を呼ばはる

「りえちゃんや、りえこ、下りてきておくれ」

今日はまた布団の上掛けを持ってうろうろしてゐる。

一昨日は夜中の12時半、ぼくがトイレに行こうと階下に降りると、

暗がりの中を寝所から出てきた。

ぬっと、ばーさん顔(笑)。

そして朝になるとそのことをすっかり忘れている。

 

倉石智證