靫ゆぎを負ひてゆくのか
誰を撃つといふのか
手が止まる
根足だる
根蔓ばふ
地にしのびやかに
おまへを尋ねゆく
槍の穂先が煌めくよ
八重垣の奥深く
緑滴る
水のひっそりと流れやり
まゐらせるお股を
滑りゆく秀先ほさきの
丹塗りの
芒のぎ高く
靫を負ひてゆくのか
もはや山を越えてからは
人ではなく、人の気配ではなく
かむさびしし
おおきな翳はものの気の黒い薄墨の
雲か山か
門柱をたやすく引き倒し
踏み倒し
一息に壁の向かうがわに
仰臥する
ましませし在ゐませし
衣擦れの音も高く
手枕の腰高く抱きぬ
胸乳むなちの満ちてくるほどに
手は胸の形に
力強く搔き抱き
水流のお股の谷筋へと流れてゆけば
それを見ん
なにかは微笑む
セヤダタラヒメと鋭く一声ハ玄牝げんぴんに響いた
満ち満ちしときほうと深い安堵の溜息を吐き
素早くあなたは軒を出て
一息に山に上り
山影は山入端やまのはとたちまちひとつになり
あなたは山空さんくうを跨ぎ
茫と空へと抜けた
それにしてもまたしても
媾まぐわひの一部始終を見たものはないと云ふ
空虚と云ふ大物主あなたははや
倉石智證
老子───
谷神不死。
是謂玄牝。
玄牝之門、是謂天地根。
緜緜若存、用之不勤。
谷神(こくしん)は死せず。
これを玄牝(げんぴん)と謂(い)う。
玄牝の門、これを天地の根(こん)と謂う。
緜緜(めんめん)として存(そん)する若(ごと)く、
これを用いて勤(つ)きず。
この玄牝は天地万物を生み出す門である。
その存在はぼんやりとはっきりとしないようでありながら、
その働きは尽きる事は無い。
(webより)
女性の谷神は万物の根であり、
その用は尽きることがない。