丘の上の聖愚者は春の風にあおられ、

もうひとりの月は寒い空の上にあります。

/どこやらに春の音聞く石地蔵

/クワッドにチケット通す電子音

/神立に雪晴れ神楽に神游ぶ

/昼酒やリフト二十回ほどの

/パペットぢゃない雪の案内人

/行乎、青春一瞬の旗門

/雪の壁下行く水のちぃよろちょろ

/冬雲をエポケー(判断保留)にして茜差す

/呆然と被爆ドームを冬の晴れ軍拡競争よもや始まる

/軍拡や恐怖の上の民主主義追い払へども来る冬の蠅

/探雪の深雪過ぎてつまらなき

/冠雪やどこからどこまでが地表

/淡竹はちく干す寒干しにして茶筅ちゃせんかな

/春節やキョンシーの人みな奔る

/剣呑けんのんや福相の人我慢風呂

/雪こんこん鱈の白子を召し上がれ

/姉ーさんの廊下に止まる冬の神

/ミニ車スキーを積んで故郷へ

/家族らし毛糸の帽子ミニ車

/葱しゃぶや風邪の子供を捉つらまえて

/さみしかりバブルマンション雪景色

/人去って冬の居宅の静かなり

 

倉石智證