迷ったら籠の中には時に嘘の卵を置いておくのさ

きっと神様だって黙って嘘の卵をつかんで

微笑むことだってある

 

光り輝く拠処ここ

長い階段が続くとしても決して暗處くらきに戻ったりしてはいけない

すぐに出られるものと思ひ

数冊の本を持って病室に入った

 

卵は残されたまま

光り輝く虚処あそこ

あっと云ふ間に無言のまま

連れ去られてしまった

はちきれんばかりの笑顔だけが取り残されて

 

倉石智證

年の暮れに友人が───。

まるで医療ミスとしか思へん。

まるであっけなく。

笑顔だけをみんなの記憶に残して。