/バックミラーに陽の赫々と飛び込んで富士の高嶺は白く耀く

/御柱諏訪の社に御いとまし里帰りせし蓼科の山

/縄文の景色は如何に(原村)尖石とがりいしまふヴィーナス何千年も

/ゲレンデに出て年寄りを云ひ触らす

/ゲレンデの一人遊びや雪花に

/雪花が舞ふゴンドラの窓に舞ふ

/月白し富士に甲斐駒、鳳凰山田んぼに出れば鷺白くゆく

/スキーして山見て帰る小春かな

/菊っ子の根を抜きしばばに冬ざれぬ

/肯ぜぬ人らに卵スープかな

/手を挙げて北方領土渡ろうよ北風ピープー吹いて来る

/よもやまはよもやで了はる冬の陣

友達の友達が二人も立て続けに亡くなった、と云ふことだ。

/坂下は薪割ることも手慰み

/ひとかどに成りて出さるゝ冬野菜

/魚沼や雪深ければ人肌に雪の下にも春や来るらし

/雪室や野菜は眠る甘くなる

/寝取られしcocuコキュは冬の梟に

/真夜過ぎて指手袋をそっと置く

/あたたまる一銭銅貨ごんぎつね

 

倉石智證

「ご飯食べて眠っちまえば今日が終わる」

と云ってば様は寝所へ行った。