"愛車"除草機。羽根車とTバーを新しく交換。

 

眼を温めたら少し幸せな気分になった

眼は見るためにばかりあるのではなく

千里の向かうまで

いや、足元の微細な芽吹きにも

風の趣にも目を瞠る

坂下に在って坂上を見やるのだ

 

それなのに、涙がにじんで来る

眼は見るためにばかりあるのではなく

泣くためにあると云ふ

いや、眼は見るためにあるのではなく

世界に泣くためにあると云ふのだ

透明な静かな涙が零れ落ちる

まだ食事の最中だと云ふのに

強靭さが喪くなっていって

こらへ性が無くなった

 

世界との距離がまじまじと一気に縮まった気がするが

ぼくはいつからか

自分をあんまり正確には見ることをしなくなったので

自分の不細工が少しも気にならなくなった

もらひ泣きもあるが

ずいぶん涙もろくなった

それを妻には悟られないやうにしてゐる

 

倉石智證