わたしのボディはダブルであって

しかも風に吹かれてゐる

深刻な悩みだ

いまそっちへ行った

いやあっちかも知れない

わたしは霞のやうに

わたしはひょっとしたら死んだのかな

 

はらしまー、おまへ何処にゐるんだ

もうどこかそこいら辺まで行ったんか

寒くはないか

いや熱くはないか

そんなこと、おまへ自身がおまへを分からない

でも手探りでずんずん進んでいるんだね

そのことを告げてゐる

だからけふは

きみんところからこんなにも離れているのに

ぼくはこめかみにびぃんびぃん

きみの符牒みたいなものを感じてゐる

だからかへすよ、だから今から

はらしまー、

それにしても生きてるときは楽しかったな

 

きみのスバルは旧式で傷だらけで

でも女の子たちは取り囲んで華やかに躁ぐ

ゲレンデは眩しく、空は抜けるやうに青く

きみは上から滑り降りて来てリフトの脇にスッと止まる

だめだだめだだめだ、宿の二階からゲロなんか吐いたりしちゃあ

エロ男がだいなしぢゃあないか

しっちゃか滅っちゃかつうんだね、あれは

でもよう高速道路で帰って来た

ビールの黄金のしわぶきの中を

まるで青春の眩しい光り抱いて

 

原島アー、

それにしても古稀になったばかりだったつうに

よくもまあ、取りいそいで逝ったもんだ

先を急ぐんだねって、握手して、ハグして

飲み屋に別れた

あんたの永遠の酷薄な厳しい寂しい

この世のものとも思へないあんな目つきを

とても忘れないでゐるよ

手指はあっちの世界のもののやうに冷たくて

はらしまー、バイバイと片手を上げて笑ってみせた

それでも世間がなつかしい

 

よう病院のベッドで頑張ったね

これでやっと楽になるのかな

わたしのボディはダブルであって

霞の中を双身に別れてゆく我ぞって

ワンゲルのあんたとしてはもう一回くらいは

冬山登山をやりたかった

ぼくはまったく知ってゐるよ

フェイスブックのカバー写真に

あれまあ、もうすっかり準備してそこにゐるんか

まてまてまて、さやならだけが人生ならば

そんな人生要りませんてか

わかったわかった

気が付いたらどこか山の上で一献やろう

な、原島あー

 

倉石智證

友人が10/28に亡くなった。

昨日の朝、TELがあった。

1948,1/7生れ。

享年71歳、と云ふことか。

今では主の無いフェイスブックを開く。

不思議だ。

きみはまだそこにゐる。

合掌。