ひょこたんはやって来るかな
ひょこたんはほれそこに
座敷の畳の上を
空車、絲曳き車、空車
ころころころとやって来る
飽きもせずにやって来ては消えてなくなり
またどことなくころころころとやって来てはそこに留まる
秋の日は黄金に染まり
百姓家ではなんでも大抵のものは
まるく、まあるく膨らんで来る
たいていは地面の下でこっそりと
ゆっくりと貯えているのだ
それをうっかりとひっくり返す
びっくりだ
絲曳き車は陽の光に塗まみれ
眩しくを眩しむ
ば様はお墓に行くのを忘れる
ほらそこに菊の花を
押し車に乗せたままに
もうなんとも草臥れ果てて
それなのにあれあれ
いつのまにか座敷の裏の畑にまわり
あれあれ、秋に黄金に枯れて来たアスパラの畝を
あれあれ、ことごとく引き倒した
ひょこたんはやって来るかな
ひょこたんは、ひょこたんひょこたん
西のば様をお墓に誘ったら
「行かない」
と云ふ
絲曳き車は空車
黄金の陽の色に塗れて
からころとやって来てはそこに立ち止まる
ほれ、あんたのそこのすぐ隣に
のっと、立ち上がり
あゝ、ばーさん、
アスパラって未だ生きていたのにって
「そうけえ」って
空車はそこで
倉石智證






