うんちしておしっこして、

うんちしておしっこして、

毎日を過ごしてゐる

うんちしておしっこして、うんちしておしっこして

毎日を繰り返してゐる

 

羚羊はあんな急坂なところで青い草を食んでゐる

あんな急攀を蹄ひづめをひらいて駆けおりる

うんちしておしっこして

躰を幹や岩に擦り付けて

また青い草をむしゃむしゃ食べて

たまに少し平らなところに身を置いてひざを折り

まるで至福の時のやうに

口唇をもぐもぐさせてゐる

 

眠ってゐるのかい

いや、かたときと 雖も

恐怖にひりついてゐるのだ

 

眠らなきゃいいのに

食べなきゃいいのに

いっそ牛属に生まれて来なきゃよかったのに

そんなことをして日がら

青い草をうんと食べ

うんちしておしっこして、

うんちしておしっこして、

ひりついたやうに動き回り

気配を探り

片時も休むことなく

山腹を縦横する

 

紅葉の季節が過ぎて

木々が巌容に葉を振るい落とすと

雪がはらはらと降り継ぎ

すぐに真白な季節が音づれる

まぐはひの季節だ

 

倉石智證