秋だもの・・・

天宇受売命は身体に一杯のジャラジャラを着けて

天岩戸の前で踊る

男たちはいい加減に酔っぱらっているが

何も衣服を身に付けていない媛ひめ

すこし寒いわね

とつぶやく

 

真っ赤な鼻を突き出した天狗は猿田彦

山奥に木の実の酒を醸す

真芯に清水のやうに滴る

酔わせて

手に手を取って燃え上がる紅葉の下を

広大な山の麓を逃避行した

 

逐電した後伝いに

村々に真っ赤な実がぽろぽろとこぼれ出て

湯気立てる立派な赤ん坊が呱呱ここの声を上げた

千五百ちいほ稲穂の国原、

やがて日ノ本中に後裔が満ち満ちてゆき

……あゝ、あそこにも、踊る、人影は田圃に

夕日に照らされて、

曳曳えいえいと幻に消えてゆくのである

 

あはれあれもあめのうずめのみことの

それは鈿女うづめとやも

きやらきやらと

冷えた紅葉葉のなかを踊りゆく

 

倉石智證

螺鈿───

鈿=髪飾り、金飾り。