朝一番、宿の二階から御岳山が。

 

/ある宿はマツタケ尽くしで迎えたり

/松っ茸を浮かべて酒の香を聞きぬ

/木曽の宿鵯ひよ来て遊ぶ柿紅葉

/秋海棠、鶏頭もある宿りかな

/湯の宿の花の宿里となりにけり

/かまはれずシオンはどうと倒れをり

/道野辺の鶏頭の数かぞへたり

/酷薄な弟切草と頸傾げ

こちらにゐる地蔵とあちらにゐる地蔵との私

/桃色や秋海棠の花灯り

/菊日和花倒れれば括りをり

/式部の実放恣放埓のむらさき

/式部の実これほどまでと日の名残り

/やれ式部実を零さんとして堪こらえけり

 

倉石智證