指触れて梨の話しを聞いてみる
真夜の秋灯りは虫を慌てさす
列島の背骨に雨を曼珠沙華
あけびが大きく割れる月が替わる
朝は誰がカーテンを引く
朝は誰がカーテンを引きに行くのかな
私はあんなところにゐる
あんなところにゐて出るをまだためらってゐる
わたしがこちらから歩いて行く時
身構えて
それでもわたしはどんなわたしに出会えるのかなと
楽しみにしてゐる
朝はカーテンを引きに
朝は誰がカーテンを引くのかな
不定形な、それこそ不定形な
秋───
わたしのリュックに一杯に詰めてそれを街に曳いてゆく
三つの梨の形をした梨の形をした三つの小品
指触れて梨の話しを聞いてみる
冷たくて
ついに耐え切れずに
汁がこぼれ出る
倉石智證