忘れてゐたゴビラッホ
陽が放物線を描いて
朝露に濡れて草ぐさが
そこがおまへたちの棲み処になる
まるで久々じゃあないか
その言葉を忘れると同時に
わたしは急に身軽になった
この季節が私たちに告げてゆくもの
あゝ、ついに歓喜に身を任す
朝露がまさかやすらへる布団のやうに上掛けてくれて
それだから露を結ぶ早朝まだ清らかな時間に
ためしに畑の静かな片隅で
それこそ、くくくくくと
ゴビラッホ
まったく歌を忘れたわけじゃあない
大将がゐなくなったって
それはたしかにさみしいことはさみしいが
ぼくたちだって自立できる
青い草ぐさの中に青い色に静まって
くくくくく……
冬眠にはまだ早いが
だからと云ってそんなに僕たちの目の前に来て
いろんなことでじゃまをしないでくれたまへ
精々がゴビラッホ
あゝ、なんと云ふ懐かしさ
倉石智證


