/呼びならす仙丈ケ岳女王とて妻をだまして上に連れてく

/女王とて仙丈の径紅あけ紅葉

/茸らの一所そこへと山の径

/山溪に滝落つる音秋寂し

/一生を山辺に過ぎて病葉の

/病葉に陽の当りたる山の宿

/ゑう無きを枯葉の色に山の花

/金木犀活けて窓辺の明るみぬ

/仲秋や妻は薄を野に摘みし

/徳利の形の瓶に薄の穂

/仲秋やお団子めいて妻と妣

/ばーさんに手カンナの怪秋夕暮れ

/無残やな皇帝ダリア畑に臥す認知の果てに力任せに

(ば様がぼくらが山に登ってる留守中に皇帝ダリアを引き倒した。)

/ほろほろと梅雑炊に秋暑し

/秋の蚊にかやいかやいと畑の出る

/はしきやし妻は梯子で吾の柿を

/かうかうと月出て虫の熾さかんなり

/ありやなしや月は叢雲にありや

/満月や枝豆喉に飛び込みぬ

/どんぐりのコロコロとなむ独楽にされ

 

倉石智證