「仕舞ひの初物」───
収穫も大分過ぎて、木にぽつんとしがみつくように生っていた李。
敬老の日に。
/ばーさんに仕舞ひの初物て云ふ話し
/訪ひくれしトンボ、蝶々秋の畑
/掘り抜きに式部の実などうつ伏せぬ
/なよなよと式部は実をば倒れ伏す
/ひとつ零れ後はなだれて式部の実
/帰り花君が代蘭の今ごろに
/月ばかり気になり窓を開けてみる
/月やある金星をやや従へて
/草引いてイチゴの床も引き抜きぬ
/ばーさんにはっきよいやと秋の暮れ
/さつま芋ここぞとばかり地の香奠こうでん
/気がかりや二日ばかりと総裁選
/秋晴れや北には南北国旗かな
/少し痩せればいいのになと秋の蚊の
/秋草のここまでの丈大殺意
/さう云へばしいなと呼ばれし落花生
/稀勢の里きょうは今日とて秋の暮れ
/何もかも暮れゆくパダンパダンかな
噴き上げにパダンパダンパダンと
道野辺にパタンパダンパタンと秋が来る
/平仄ひょうそくを合わせてパダン秋や来る
/秋霖しゅうりんや送り人ある希林かなよく出来過ぎた物語りなむ
倉石智證





