花はいつもすでに答えを出して待ってゐるものだ
お答えなさい
白い花は白い実を付け
赤い花は赤い実を付け
青い花は青い実を付けると云ふ
でもわたしはそんなことを見たことはない
でも黄色い花が隣に引っ越して来た時
わたしはなんとなく予感にうちふるへ
答えがあってもいいと思った
てふてふが数式になって畝と棚の間を浮遊した
トマトキュウリカボチャそれにオクラとゴーヤ
でも誰がそのゆかしい形に為り合わせると決めたのだらうか
身構える
紅い柘榴の花は紅い柘榴の実になった
紫の花は茄子となって、今も為り合わせるのを止めない
ところで春先の白い花は林檎や柿の実になって
柿は黄色に色づいた
花は蝶や虫たちに何を伝えたのだらうか
黄色い花にいつも南瓜が実を付けるとは限らず
トマトの実が赤く熟れて来ると云ふこともあるのだらうか
まさかと思ふが
ある朝わたしはオクラの黄色い花の前にしゃがみ込む
南瓜になるのかなおまいさまは
花芯からブーンと蜂が飛んで行った
花々はすでにいくつもの答えを持つ
それで母なるものはその厳粛さに思はず身震いするのだ
ゴーヤの花
倉石智證


