/揚羽蝶柘榴の樹から飛び出でぬ

/百日紅空青ければ赤紅けし

/簾越しに花百日紅涼しかり

/花南瓜実をば忘れて明るめり

/七輪の無くて秋刀魚は目黒かな

/秋刀魚しゅうとうぎょと書かれしサンマ何思ふ

/秋刀魚には檸檬ガリリと搾られて

/秋風や忘れしことをなほ忘れ

/行く秋や飲ませ上手に呑み上手終わりなき夜にあとは酔い宵

/雀蛾の交尾まことに長かりき

/ある人の西瓜を置いて帰りけり

/ばーさまに髪染めぬるを毛繕い妣娘の会話風呂に響かう

/富士連れて大菩薩嶺登りけむ

(娘は大菩薩嶺を登ってゐる)

 

倉石智證