とてもどうしやうかと考えてゐる
とてもおまへが悪いと云ふわけでもない
夏になった
もう凌霄花のうぜんかずらが庭の隅で花腐はなくたししになって
露を泛べ蟻の訪ねる侭にしてゐる
夏になる
ともするととても生ぬるい水だ
生ぬるい舌に
とても自己主張のある言葉だとも思ふ
宅急便の車があそこに留まり
そしてエンジンを掛けたまま物思いに耽ってゐる
石垣を這い上って来た南瓜の蔓が
石垣の上に顔を出し
蔓が辺りをひっそりとうかがう
蜘蛛の巣に水が露に溜まり
いくつものモザイクに光る
空に梅雨の雲が奔り
凌霄花の夥しい赫色が花に散って
とてもどうしやうかと
考えてゐる
人が亡くなったと云ふ放送が入り
すぐに輪郭に崩れてゆく
倉石智證



