われわれは反復の病人であるから
それらをじっと凝視する
南瓜が黄色い花をつけたかと思ったら
もう小さな玉を大きくし始めた
私はその内にだがきっとしくじりお漏らしをする
その時は果たして周りにだれかがゐてくれるのだらうか
誰もゐてくれなかったらトイレにでも籠って
トイレを棲み処にしやうかとも考えてみる
反復の病人はどうもその思考は垂直に下に降りて行こうとする
若い時は反復なんてすら意識しなかったんだ !
ちゃっかりしてゐるのは雀で
すぐに乗っかって交尾し始めた
激しく空を横切ってゆくものがあり
それらは今年の燕たちだ
椋鳥たちは今が子育ての真っ盛りで
曳きも切らずに餌を運んで来る
鬼瓦の天辺に留まり左右を見回し
そしてダイブする
雛たちは大騒ぎしてゐる
感情が垂直に下りてゆくのはどうも悲劇的である
あやつらは───
と云ひかけて口を噤む
どう考えても記憶と希望がない限りは
連中の方が上手うわてではなからうか
カボチャの蔓は眼を得たかのやうに匍匐してゆく
天地の運行に逆らふものなどいない
ただ任せて、正直であること
たとへばわたしが垂直に落ちてゆくやうな傍らに
みな熱心にそれぞれの自分たちの仕事を
寸分も迷うことなくこなしてゆくと云った
これは初めての胡瓜の子供である
連中には生なんか考える閑などないと同様に
死なんか考える余裕すらない
倉石智證



