色鉛筆の夢想はまたまたひとつひとつが好き勝手で

でもそれはものすごく楽しい

耳に挟んでおいたものを紙の上に転がしてみる

無責任なと云はれついでに

欧羅巴の尖塔になったつもりで

リズムのやうに音符する

 

朝は朝で歩いて行ければいいんだ

異国の異国の地の尖塔は鳥の巣が似合ふ

鳥たちが出入りするたびに凸凹と虹色に輝いて

自由頻度によってほんたうの民主主義を選ぶ

ところが苦労してゐる

意識と無意識とかがさざ波のやうにぶつかって

妙に不具合な音を立てるのだ

 

ものごとを咀嚼すれば符号ばかりが増えて

その都度忘れてしまうから

何の符号だらうと

後で苦労する

いろんな厄介ごとを持ち込んで来る

もう色鉛筆なんて忘れた方がいいかも知れない

 

無数の尖塔を渡り歩いて行く

嘘つきはたちまち見破られて

わたしも空しく落ちて行く一人になる

鳥たちの賑やかな囀りは

せめてもの精神への慰めだ

人々の知識を意識に変えること

持って生まれた石の硬さがまた何ともやはらかくなる

やっと人の話を聞いてくれるのだ

 

倉石智證