ぽにょ
あそこで眠れたらいいなと思ふ
ぽにょ、さまでなくても文庫本を手に腰を下ろす
或いはイーゼルをもって水色の絵を描きにゆく
あきらかにその時は鳥たちに与くみする
苜蓿うまごやしの原に
人気なく
青き青き人間じんかんの秘密に
静かに降り立ってゆく
風の戦ぎを確かに聞いて
そして明日のことを忘れるのだ
ただ流れるままに
もはや両手の間のことしか考えない
ぽにょ
かうして苜蓿の季節に
秘密めかして野に
人と社会との隘路あいろを断つ
こんなにも気持ちのいいものだとは
苜蓿に鼻を埋めて
ポチの真似事をしてみる
あきらかに一人で笑い出すのだ
役にも立たないことがまはりには一杯在って
ぼくはほのぼのと逃げ出す
倉石智證


