多分眼がやはらかい

やさしい視線を得たのだ

軒に燕の巣を見つける

別なところでは

鳥の巣の中にいつの間にか卵が寄り添って産んであった

 

門扉に花枝を絡ませたとして

どうしてその花の咲き満たされるころと

その路上にまであふれる花の香まで想像しえただらうか

やはらかい眼はかうして野に出掛け

屋根に上り

門扉の下から覗き

思いがけない発見に心ときめかせるのだ

 

空に雲が流れ

少し潤む時分に

鳥たちはもっとも自由になり

花は知らないでいるところにまで咲き乱れる

風に揺れるあの蔓の先端にも

やはらかい眸と眼があって

風を掴もうとする

 

本を閉じて

眼鏡を鼻の上にずらす

思ひを四囲に廻らす

あゝ、かうして齢をとるのもまったく悪くはないな

と思ってみたりする

 

倉石智證