カッコーの声は深い井戸の底ゐに聞こえるかのやうだ

深い内心に聞こえるかのやうだ

朝まだきに鳴き出して

それでまたスッと鳴き止んだりする

もう起きなさいと

お日様がもうじき出て来る

あそこではもう野面に働いてゐる人がゐる

 

カッコーが鳴き出せば

あたりはもうどんどん真緑色になっていって

緑の森でカッコーが鳴く

悲しいニュースと、嬉しいニュースがTVで流されて

うれしいニュースはいいのだが

悲しいニュースにはカッコーが鳴く

カッコー、カッコーとまるで木管楽器のやうに

もうそのときからどこか憂いを含んで

 

けふは晴れたが

山際に白い雲が浮かび

百姓らが苗代づくりに精を出す

雲が梅雨を運んで来るよと告げに来る

うれしいと悲しいがあって

カッコーは鳴く

それは深い精神のどこかに鳴き出だすやうで

自省や内省を促す

深くこの生を愛せよと

カッコー、と尻尾を上げて

村落を、きっと斜めに横切って

 

倉石智證