2011,4,22岩手県宮古「高台のお年寄りに運ぶ」

 

よほどの感慨が無ければしかし

山を越え海を越えてまでして

しかし、情熱をもって百円ショップに入って行った

浜では足りないものばかりだった

ところが海から入った山でも

やはり足りないものばかりで

海でも山でもそこいらじゅうが芽吹き始めると

青くなるばかりになった

 

いよいよ青くなる

人間界から次第に遠ざかって行くやうで

遠ざかるばかりになると

よほどの感情の側面がないと

あれほどの重荷を背負って

海沿いをずっと歩いて行くだなんてことは

海風が躰を押して

荷が背中にやたらとしがみつく

潮風に重い

 

ぬけぬけと

あれほどの責任を持ってしないと

と云ふことになり

感情の側面が試される

無数の眸ばかりが海からも山からも飛んで迫って来るやうで

ほとほと

行悩む

 

負けるわけにはいかない

あれほどの思ひがあるからこそ

こんな浜辺の水が湧き出すやうな低いところから

まったくガラクタであるかもしれないけれど

次第に蔓や植物で閉ざす

山の上まで運び上げる

毎日

あらゆる感情の側面と

額に浮かぶ汗と

百万の悔しさを持って

空気中を激しく飛んで来る

わけのわからない無数の悪意ある眼と対峙する

2011,3気仙沼「絶対負けない」

 

倉石智證