/春眠の通り過ぎてくあと何分

/人気無き浜に出てみる七回忌

/人気無き浜辺に出れば陽の光りのたりのさりは道子氏の謂ひ

(石牟礼道子「のさり」は方言で「天からの授かりもの」の意)

/雛あられ零れしままにそのままに

/雪吊り縄ゆるびて春の遠からじ

/白梅のあと追い掛けて頽くずをれぬ

/陽の光り紅白梅の競ひ合い

/いい天気春百姓の見逃さず

/植え付けを急かせる姉の農の皺

/仏の座一日ごとに畑覆ふ

/青草の青草めいて春整ふ

/そろそろと樹液の巡る春となり

/春行す野辺の広さに驚きぬ

/水温む鷺の足元陽の光り

/洗濯機電子音さへ春めきぬ

/おお嚏くさめ花粉どころか飯粒も

/あなどれぬ森友などより北のこと

/ひとしきり世間話や春の鬱

/春の泥音のうるさきタイヤかな

/春の泥行きつ戻りつもの忘れ

/鼻歌は妻を励ます老いの家朝から妻は忙しいのだ

/さーばくーに陽が落ちてみな出征や慰問せし

(朝ドラ「わろてんか」)

 

■二村定一「アラビアの唄」日本のジャズ歌手の先駆けといわれる。

昭和不況が始まってゐたが、まだ古き良き時代だったとも云へる。

 

倉石智證