おはやうと云ふついでのやうに

水仙が土を割って芽吹いて来た

まるで文句のつけやうもなかった

 

昼までは掃除をしたり洗濯をしたり買い物に行ったりする

まぎれもなくお昼時は最高の倖せの時間になる

焼きたてのパン

マルタのマグロ

そしてボンゴレ

娘からTELがある

けふは来れないと云ふことだった

つくづくと時の速さを感じるのだった

時は電線の上に現れれて

直ちに鳥たちとともにただ過ぎて行くものでもない

生生と眼の前で変化する

それはば様においてはすぐに忘れると云ふことだった

まだたったの昼なのに寝所に寝に行こうとする

時間は指にしらける

廊下の上の出来事も不明のままになる

 

要らない電気は消しなさい

さうしないといつか

表か裏か、裏か表か分からなくなるよ

クサンチッペめ

世の中の幸不幸を計ってゐる

なんにしても部屋中の電気を消してゆこうとする

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夜になると

音と色彩が落ちて来るのを静かに待った

 

倉石智證

ソクラテスの妻クサンチッペは悪妻だった、と世に云はれてゐるが・・・。