■1920シャガール「モスクワのユダヤ芸術劇場壁画」

パリから郷里ヴィデブスクに戻った後、モスクワに出て手がけた仕事だった。

 

 

そっとそこへ押しやる。

八月の完成を含む。

チグリス河畔で桑の実や柘榴を食べた、

と云ふやうな考察を経て───

 

いつだってそっと押しやる

遠慮がちに

でもしっかりと行く末を見据えて

確実にあふれては落ちるのだ

そんな風にして新しいあなたはある調べとともにやって来る

古いものをどんどん押しやって

新しいものに着換える

それは小さくても新しい上着だ

 

音曲は実に楽しく愉快に

どんな些細なものでもいつかは必ず花になると思へば

ある楽士はあんまりにも気張って

顔が緑色になったり真っ赤になったりする

委細構わずにもうすぐ春の祭典がやって来るのだ

ダンスする人は世界の果てにまでゆく勢いで

道をポンポン跳ねて行った

 

倉石智證