わたしはあなたのことを愛してるって
誤解してゐる
春にして君と離れる
君には散々ありがたいが
いつまでもぬくぬくしてはいられないんだ
北のドアを開けてぼくは出掛けて行くよ
南側のドアも、西も東のドアも開けっ放しだ
玄関先の土が温まって、もうじき
土を割って花が思いがけず咲き始めることでしょう
春の鳥たちが来る前に
ぼくたちはあらゆる事を決意しなければならない
愛がとっととぼくらを追い越して行って
あそこでほら、凝っとぼくらを振り返って見てゐる
抱擁したり
手に手を取って重なり合わせたりすることなんかは簡単なんだ
季節の前に宣誓する
春にして君を離れ
冬にしてまた戻って来る
君にこの濃厚な香りのクロッカスを上げよう
もっとも君の真摯な態度の前には何にもならないけれどね
あゝ、男たちはもう何人くらい死んだんだらう・・・・・・。
倉石智證




