ひらがなのつかみがたし

ひとひらのひろいがたし

雪のふるまちに入りたし

まちゐたし

雪の片ひらのかたことの音の

道行く人の傘に置きたし

 

そっと肩にふれたし

雪あかりさみしき街に

はずれに

街はずれに電信柱の

電柱に灯りが点り

雪の片の限りなく空より

昏く漏れ来て

雪灯りにまるく照らされて

 

空からのきっとお手紙

ひらがなのふるふる

あなたの

あなたを待ちゐたり

ひらがなの愛のお手紙を

たぶん、つかみがたし

つかのま、肩に背につもりゆく

 

罪障の

かたしかたし

つかみがたし

電信柱にわれと来て

天の空から塵の如くに雪の

ひらがなのふるふる

雪あかりにぼうと

わたくしの、ひとり

佇つ

 

倉石智證