■夕照

 

当ても無き

音も無き

音沙汰も無きに

ちょーい、弔意

玄黄げんのう地衣に空しく

早朝の霜に地衣の将まさに蕪れなんとす

 

黒衣の人たちの朝に列する

陽にかぎろひて

門柱に入る

人は確かに死して

ある時はそれを哭こくする

しこうしてまた時が経てば

忘却のそれは押し並べて時を平らかにする

 

豈べけんや

門柱にいざ、然ざるべけんや

読経の閑しづと続けば

吾が仄息ひょうそくもそれへと続き

掌を擦り、すり合はせ

ぬかずき、押し頂く

音も無き、音沙汰もなきに

確かに吾らも次にたしかに

(羯諦)ぎゃーてい、ぎゃーてい

波羅ぎゃーてい

 

倉石智證

波羅羯諦「さあみんなで彼岸の地に渡りましょう」。

「帰りなんいざ、田園將に蕪れなんとす」陶淵明『帰去来』