「駅舎へと師走の街や影法師」
「乾杯を喉に流して齢忘れ」
この道が好きだ
ペイブメント、石畳の
枯葉舞い散る
ポインセチアの葉も赤く色づき
ヨドバシカメラへの道
世界堂にはなまるうどん立ち食い寿司屋もあって
この道が好きだS字に緩やかに曲がって
まるでどこか知らない国にでもつながってでもゐるかのやうに
あそこでは銀杏の葉が燦々と散ってゐる
ぼくたちは悲しいをいっぱい持って来て
ぼくたちはうれしいをいっぱい持って来て
その中でも希望や元気はぼくたちを勇気づける
椅子をひいてまず座りなさい
乾杯だ
まさか子供たちがこんなにおおきく育ったなんて知らなかった
スマホの中でお色直しをして
ここはドイツなんだね
だれかいい人なんか出来ちゃったらどうしませう
そんなことさへもうれしくて
赤ん坊の時から何度となく
引っ越したり、入学の時も
家から出て行く時も
ここへ来たね
冷蔵庫もカメラもありとあらゆるものを
ずいぶんと買い物に来たぢゃあないか
それが、いまぢゃあスマホの中の君になる
とてもうれしいやら悲しいやら
この道が好きだ
ペイブメント、石畳の
枯葉舞い散る
まずは椅子をひいて座りなさい
そして乾杯だ
過ぎ去りし日に帰り
思ひ出の中のセピア色に往還する
倉石智證
