過ぎ去れば古稀の坂さへ懐かしく今ある坂にささらほうさら

去年こぞあるをいま踏み越へてけふあるを今新しき茶を啜るなり

/白金の四壁の中に田代湖の碧きを置いて滑り込むかな

/上り来て神楽を下りる初滑り

/初滑り生ビール券粋なこと飯を待たるゝ神楽の山に

/カツカレーぼくはビールにカレーかな

/クワッドのフードの中の温かさついゴーグルも曇りぬるかな

/深山に雪中茸阿保なこと

/熊鈴を落としてけふの茸かな

/茸山雪の白さに静まれり

/雪晴れて茸につららありぬるを

/足元に魚跳ね吾の誕生日魚野河原は斑雪はだらゆきする

/雪降れば薪たきぎも雪に湿りけり火付けの人も苦心さんざん

/炭継ぐや雪と河原とBBQ

/焼きおには丸に三角四角なり烟の中に網に乗せたり

/休みぬるかろき鼾を襖越し遊び疲れし姉に弟

/命日を母に偲べり懐かしくPCの中伸び縮みさせ

/ねーさんは母の思ひ出てんこ盛り悲しきこともいま懐かしく

/乳も尻もなんにもねへ娘っ子だと十五の春に

/数珠玉で腹摩さすられて一宮父の兄なる人の祈りて

 

倉石智證