葉が落ちる時

たうたう自分と云ふ選択肢しかなかったことを知る

常に創り変えてゆくと云ふ瞬間にさへ

もうあなたやあなたやあなたも入り来む余地がなかった

 

風が当たる度に日差しの中で

甘く透明に熟してゆく

言葉で説明し得ないものが

あちらにもこっちにも散らばってゐて、でも

必要なら一気に駆け寄って来る

と云ふやうな、でも

躰を動かさなければだめだよ

とついに

こちらから行くやうにもなる

 

そんなときにはちゃうど愛が目覚めて

あなたとわたしは入れ替わり

入れ替わり入れ替わりし

皮膜の中で心地よく長いこと過ごしたものだが

風が当たる度に日差しの中で甘く透明に熟し

透明な液が甘やかに滴り

皮膜から抜け出て脱ぎ捨てて

真赤に焔へた葉は青い空に滴り

無数に

 

それらは風が吹くたびに幾千、幾千万の声を上げ

吶喊とっかんと多くの物語を引き連れて

縺れるやうにこれらの葡萄樹の下に

連れ去られて行くのだった

 

倉石智證