過ぎてゆく日

過ぎ去りし日にはとても追いつけない

そんな時に

思ひ出を持って来てくれてありがとう

 

そのとば口に立って

みんな輝いてゐたね

正真正銘の、とか

掛け値なしの、とか

ぼくらは靴を履き潰して

ずいぶんと歩き廻った

いいこともあったが悪いことも

金輪際

あとは割り勘だったね

 

青春ってなんだらう

結局女を取り合ったり

つまり男を取り合ったり

それで世界ががらりと変わり

そして、それらがすべて今になった

謝れよ

素直になれ

間違っていたなんて口が裂けても云へないが

今は優しくなるしかほかはない

 

あの銀杏の木に

静かに冷へて

黄金の色に韻律が重なり合ってゆく

「金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の丘に」

(与謝野晶子『恋衣』)

みんな掛け値なしの恋をしてゐたんだ

 

倉石智證