いつもおまへは誰だと尋ねてみる

そんなところに隠れていないで出ておいでと問いかける

ずぶん久しぶりぢゃあないかとも聞いてみる

日課や仕事に耽ったり

いかにその場しのぎで生きているか

まったくその点では忍耐強ささへも抛り投げて

天に任せたおまへの天然の明るさにはまあ !

 

ここに来て少しお話ししやうぢゃあないか

晴れた日には庭を横切って

知ってゐるよ

何度か私の窓を訪れた

そして、大胆にわたしのパソコンの縁に留まり

いざなふやうに何度も翅を広げたり閉じたりする

死者は生者を必ず慰めに来るのだ

こんなにも晴れた日には

庭の垣根や畑の果樹を越えて

それでも秋の蝶の心細く

躰をしっかりと風に立てる

 

義務や奉仕のために翅はすっかり破れて

おまへにももはやこれまでと思われたとき

「さやなら」って

時間ていふ向かうに消え去る前に

あゝ、なんて明るい日なんだ

いついつまでなんて約束事なんか忘れて

今はおまへの口吻で私を撃て !

 

倉石智證