あそこにカッコーが鳴いてゐるのは
取り繕うためではない
午後になると風が強く吹いて
電線に引っかからんばかりに鷺が
まるで真っ白い紙切れのやう流され飛んで行った
午後の四時
もうそろそろ潮時だ
無性に飛び立ちたいと思って鳥たちは
電線や軒下に騒ぎ出す
死してなほ励ます人や夏の雲(日野原重明さん)
つばくらめ、みんな帰れ、家へ
つばくらめたちみんないそいで帰れ、家へ
風が出て来たよ
はぐれないやうに
空をよく測り通い路を
一つの軌跡を追い立てるやうに重なり合い滑空する
それさへももう遊び飽きただらうに
子つばくらめたちが大挙してまた飛び立って来る
電線がびゅんびゅん揺れる
鷺が遠くにまるで真っ白い紙切れのやう流され飛んで行った
山の端に雲の峰がいくつもに崩れて行った
甲府盆地にはげしい内圧が奔って
カッコーがつんのめったやうに
カッカッカッ、と鳴き躁ぐ
倉石智證

