あそこでは燕がねりりしてゐる
やがてすぐに雨が来るだらうと思ってゐたら
ぽつぽと黒い雫が屋根瓦に広がり
ついに濡らすほどになった
そのうちに今度は蛙でも鳴き出すだらうと思ってゐたら
案の定
くりくるらくりくるらと
田の向かうのほうから聞こえて来る
そして雨に濡れて葭の原の茂みからは
ぎょぎょ、ぎょぎょとヨシキリまで鳴き出だす
きっとみんな雨を喜んでいる
デデポッポーが低い声で知らせる
われわれはとんでもない宇宙からやって来たのではなく
すぐそこいらぢゅうの地球から湧き出して
ネリリして、
クリクルラ、クリクルラして、
ギョギョッギギギと
今はこれだけだけれどと
手を打って、打ち鳴らして
ひとしきり好き勝手にした後で鳴き止んだ
周りぢゅうが水を打ったやうにシーンとする
デーサービスのバスが村の入り口からやって来る
倉石智證