ここに売り上げではなく

一つ美しい音楽を奏でるのにはどうしたらいい

老獪な人相らがうち揃いバルコニーで杯を捧げ合ふ

多くのものたちのすべてがこの世界の今に参画してゐる

それがたった今の風の戦そよぎだ

 

物事が行き詰った時

調律を外せばやはり

ゴビラッホ

あのアマガエルに頼むしかないか

人間の言語に飽きて

革命のためだ

のっそりと出ておいでよ

濡れてひしゃげたこの世の顔に

後ろの足は確かに地面にある

 

ひどい話に対しては旗を掲げるしかない

遠くの地平に居ても分かるやうに

出来得るならば赤の色を

血だ

言論の言語の言葉の

ようやく始まったばかり

確かになる

もう全員が歩き出し

一人の人の呟きが歩くたびに大きくなって

はためく、何時しかそれが歌声に響き

地に波打って進んで行く

 

もう女王様の名を呼ぶしかないだらう

衣擦れの音もさやかに

強く大理石の床を踏んで来る

ゴビラッホが前に進み出る

真実を語り出すにはこの夕ぐれがいい

ひしゃげて踏みつぶされたものたち

それらが一斉に物陰から立ち上がって来る

蛙語が蛙語にせめぎ合い

入り乱れる

相変わらずあのバルコニーでは

 

倉石智證