■過去と未来から責任を託されて「信託」現在を選択する。

「いまを生きている有権者は、過去と未来の国民から、よりよい社会を築くよう責任を託されている」16,7,6朝日新聞

■16,815日経

 

「2020年に新しい日本を」───。

自民党安倍首相による「改憲」への発言により、日本の国政は膨大なエネルギーをそれらのまたぞろ神話論争に費やす方へと駆け出した。「憲法は後でいい」と榊原経団連会長にまで指摘されてゐるにも拘わらずだ。同じくらいのいやそれ以上のエネルギーをかけて、どうして例えば社会保障問題に真摯に取り組もうとしないのか不思議である。問題はゼロ近傍まで落ち込んだ潜在成長率の問題であり、国民の賃金にも結び付く国家の諸所における生産性の停滞の問題であるにもかかわらずだ。

 

憲法を変えたって、

「今の国会は森友学園ばかり、何が大事なんですか、あんなこと」

ジャーナリストの櫻井よしこ(「美しい日本の憲法をつくる国民の会」での発言)。

それに自民党議員たちによる次々と飛び出る問題発言、

なにが「美しい日本の憲法」なのかさっぱり分からない。

道徳を論い、「九条をそぐわない」、前文を「侘び証文」とまで云ふなら、まず足下から糺すべきだろうと思われるのだが・・・。

 

そしてそのことばかりでなく、生産性や目下の賃金にも関係することだが、

■日本に輸出産業がもう増えないと云ふことは、設備投資がそんなには望めないと云ふことで、従って更なる雇用の増大はありそうにもないと云ふことだ。製造業の賃金が国内のサービス業による賃金よりも格段に上であることは周知の通りである。

■実力と云ふよりも、為替などによる他力本願であることはあからさまだ。その"黒田マジック"にも陰りがみられる・・・

■主要企業はみんな海外生産となってゐる。

もとより「憲法九条」とは全くはるか遠い問題である。

■ネット通販と云ふ社会の構造的問題である。

■先進国特有の低体温構造が、給料の伸びに抑制的に働きかける。

動産的大企業と、不動産的国内のサービス業の停滞。ボーモル効果とは、社会の低生産性の産業に人口が集中することで、さらに国民のGDPを抑圧することを云ふ。いわゆる安倍首相の云ふ雇用は満たされてゐると云ふ自己満足的なことではなく、あくまで雇用の質の問題こそが重要な課題なのである。GDP=約500兆円少しくらいのところへ、みんな家計の苦しさに耐えかねて労働市場に参加すれば、生産性が逆に下がるのは当たり前だ。

 

中国の台頭や北朝鮮がいよいよ危機的状況になってゐると云ふ。だから憲法を改正すると云ふが、中国でも北朝鮮でも問題をここまで増大させてしまったのは歴代の政府のそれこそ不作為とと怠慢と見当違いの知見の所為であろう。政府国家のしなければならないことは戦争に備えることではなく、あくまで危機の事前的回避にこそ努めるべきだ。

■たとへば資本主義ではこう云ふ可能性の側面も見せてくれる。

 

つまり事の優先順位から考えると、日本や世界が抱えている問題は、憲法改正、憲法九条どころではないのである。憲法を変えたからと云って世界には何も影響を与えられない。中国をごらんなさい。AIIB"一帯一路・新シルクロード構想"は必ず世界史を変えてゆくことになる。事実として低体温の世界経済が望んでゐる「需要創造」に膨大な面で資することになるからだ。「憲法改正は後でいい」。平和国家日本において、安倍政権のいわゆる「憲法改正」は世界史の中では非常にチンケな問題と云はざるを得ない。社会迷惑なことだ。