春は目覚め

あしたにさまざまの声を聞くはうれしい

デデポポーの歌は少し物悲しく

あれあれ電線にひとりの鵯の聲は物欲しげにヒィヨ、ヒィーヨと

つばくらめはすれ違いざま宙で賑やかな囀り声を上げる

緑の葉叢は未だ薄緑に陽に透けて

 

君等なら行くだらうか

長い田圃道を山の麓の際まで

そして微風が湧き起こるころともなると

ピースビースとシジュウカラの鳴き声だらうか

心底世はすべてことも無きをと

片岡に

うれしきことの様々に満ち来て

ぼんやりとする空の奥処おうかに揚げ雲雀が胡麻の粒に浮き立ち

いそがしく鳴き交わす番つがいなぞのうれしく

地には芦原が風にそよぎ

今まさにヨシキリのうるさき程に鳴き出だすのだ

緑の風の波間より

不意と鋭く人の声よりも確かに

 

わたしなぞは後ろ髪引かれる思ひで

午睡へとしずしずと

 

倉石智證